東ソーEVA ウルトラセン625を射出成形してみました。

EVAって樹脂知っていますか?

EVAをひとことで言えば柔らかい樹脂、シリコンのような感じです。(シリコンとは違うのでご注意を。)
身近にも結構使われているんですよ。有名なものはクロックス(Crocs)、身近にあるんじゃないでしょうか?
あとは、ヨガマットや小さな子供の遊ぶところに敷いてあるプレイマットなどもあります。

ということで、今回は東ソーEVA ウルトラセン625という材料での成形です。
ウルトラセンは多くのグレードが販売されているようですが射出成形グレードとなると6種類程度に絞り込まれてしまいます。
お客様のご要望で射出グレードで硬度がいちばん柔らかいウルトラセン625を選びました。
ちなみにウルトラセン625のデュロメータ硬さ(硬度)は94です。 クロックスに比べるとかなり硬さはあります。という経緯で材料選定を行い、その後金型の製作に携わりました。

金型製作の詳細については割愛します。すいませんw
製品形状は守秘義務にかかわることもあり出せません。
金型についてざっくり言えば・・・ 抜け勾配がしっかりあるため離型性には問題はない形状、ただし製品特性および金型構造上、エジェクターピンが設置できる箇所限定され本数も少ないという問題がありました。
これらは実際のTRY時に離型状況をみて客先にエジェクターピンの追加譲歩を依頼ということでスタート。
なおウルトラセン625における収縮率は7/1000~12/1000で設定しました。

実際に成形してみた結果。

メーカー推奨の加熱温度帯でセットし成形条件出しをしました。
流動性はかなりよく部分的に薄肉部があり流れるかが気になってたが全く問題なし。
むしろ流動性が良いのでガス焼けやバリを考慮することが必要かな。
変にガスベントを設置するとバリの原因にもなりかねないくらいよく流れるので金型の最終調整ではこのあたりが腕の見せどこになってくることもあるんじゃないかな。
離型性については徐冷がよくできているところの離型がよく、熱を持っているところの離型がやや悪い。
これは一概に熱の問題だけとは言いがたいかもしれない。圧力のかかり方も起因している可能性がある。
金型設計時に危惧したエジェクターピン不足問題は特に起きませんでした。
(下の写真は製品の一部をカットしたものです。)

やや離型の悪いところを残したままだが量産に問題ないため今回はOKとしました。
その後、何度か量産していますが順調に生産しております。