ノバレックスとパンライトの流動性比較をメモ

PCの銘柄、グレードによる成形性の比較をしてみました。

今回、メジャーなPC2銘柄を比較テストする機会があったのでメモ。

【比較材料】
PC:ポリカーボネイト
PANLITE(パンライト)L1225Y
NOVAREX(ノバレックス)7020IR(高流動グレード)
NOVAREX(ノバレックス)7022IR(一般グレード)
すべてナチュラル・ヴァージン材


【製品:TRY品形状】

ケイタイカバー
枠形状(窓枠形状で肉厚1.2mm)+全体肉厚1.2mmのスマホ背面カバーのセット取り

【目的】
肉薄品の為、とにかくショート無いようにが優先ポイント。
(つまり、フル充填するか。しないか。だけを見る)
成形条件としては樹脂温度高め、射圧高め、射速早めを基本とした。

【結果】
①L1225Y
ショートになるがG付近等にバリも出る。
フル充填までは至難の業。ショットごとにバラつく。
型表面温度の些細な変化、シリンダー内滞留時間のバラツキにて流動性が左右されていると見るのが妥当か?
多分設定しているシリンダー温度は温度許範囲の上限のややオーバーしたあたりだと感じる。
ある温度を超えるとになると急激に黄変・バリ・強度劣化が発生する。
量産性NG。

②7020IR
高流動Gだが規格内温度ではショートとなる。
温度上昇させフル充填する温度にした場合、黄変・バリが発生する。
元々、強度が一般Gよりも低いが温度高めだと劣化によりさらに強度が落ちる。

③7022IR
フル充填する温度(規格よりやや上)でも黄変しない。
型温が安定するまで製品バラツキがあるが、安定後は成形性は良好。
強度不足も感じられない。シリンダー温度高めに一番強いと思う。

【見解】
今回は結果的に射出圧力や射出速度による流動性の変化よりも、シリンダーの設定温度による流動性の変化のテストとなった。
つまり耐シリンダー温度比較である。熱カロリーの許容量を超えると急激に物性劣化が起きることが確認できました。
これほど違うとはちょっと意外・・・!面白い!

個人的な記録ならびにお客様との守秘義務もあり、製品詳細、成形条件詳細など詳細事項は書きません。
だから、製品写真もないのよね~。

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