プラスチック成形の生産移管、金型移動の方法とコスト

ここ数年、射出成形の生産移管についての問い合わせを多く頂きます。
事業継承、高齢化や人材不足による廃業、人件費や原料価格の高騰などの国内環境。中国などの海外からの生産移管は人件費高騰などによるコスト上昇、国同士の関係悪化など大きな問題を起因した国内回帰、その他、中間業者が多すぎる。担当者の対応がよくない。など要因は様々です。
弊社では国内生産移管はもちろん海外からの成形移管(国内回帰)についても対応致しております。

生産移管・金型移動にあたって

プラスチックの生産移管について成形メーカーの目線で言えば、国内からの生産移管、金型移動、中国など海外からの生産移管はどちらもクリアするハードルは同じです。以下のよう情報があれば受け入れ可能かあらかたの判断できます。

移管に必要な情報

・成形品の大きさ、重量は?
・金型は成形機に取り付けられるか?
・成形材料、取数、生産数、価格は?

移管成形品の大きさ、重量は?

生産移管する製品の大きさ、重量によって生産する機械の大きさが変わります。
身長180cmの人にSサイズの服を着ろと言っても無理がありますよね。
機械と金型、製品サイズにも適切なサイズがあります。
製品の大きさによっては成形機の大きさに合わずに生産できないということもあります。
製品図面や製品現物があれば全く問題なしです。
手元にこれらがない場合は、写真やざっくりとした縦横寸法などでもある程度の判断はできます。

金型は成形機に取り付けられるか?

製品のサイズ同様に移管する金型が成形機の仕様にあったものでなければ生産できません。
これも服のサイズと同じで成形機に適切なサイズの金型か確認する必要があります。
まずは縦・横・高さの寸法。
さらに、金型については成形機にいくつかの箇所がピッタリ合うかチェックする必要があります。
服で例えるなら、ワイシャツの首周りと袖長さでも言えばわかりやすいかもしれませんね。
既成品のワイシャツでも首周り、袖丈はSMLといった分別とは別に首周りや袖長さなどにサイズがありますよね。形機にも2ヶ所ほどぴったりかチェックする寸法があります。(合わない場合は修理可能です。)
チェックする箇所はロケートリング径とノズルRです。(細かく言えばまだありますが基本はこの2つです。)
ロケートリングはものさしをあてるだけで簡単に測れますが、ノズルRについては簡単にできませんので、弊社の場合金型を持ち込んでいただいてこちらでチェックし合わなければ、金型を修理して成形機に合うようにしています。
ロケートリングについても修理は可能ですので、この2箇所は移管後のチェックでも対応できます。

成形材料、取数、生産数、価格は?

製品サイズ、金型にあわせてほしい情報が成形材料、取数、生産数、価格となります。

成形材料
プラスチックの材料には様々な種類がありその中にも様々な性質に特化されたグレードがあります。
たとえば、ABSのメッキグレードとか、PP(ポリプロピレン)の高流動グレードとか…。
日用品などではそこまで細かな指定をする必要もありませんが、工業用の部品や機能部品などではこれらの材料特性はとても重要な要素です。
移管時には分かる範囲で結構ですので材料についての情報があると助かります。
材料の種類や特性や色によっては生産対応できないこともありますし、生産グレードによっては価格が大きく変わる場合もあります。

取り数
『取り数』という言葉は馴染みのない言葉かもしれませんが、金型の中に何個の製品が掘られているかということです。
1回の成形(サイクル)で何個製品ができてくるかということになります。
たとえば金型内に同じ製品が2個掘ってあれば、2個取りといい、1度の成形(サイクル)で2個ぼ製品がつくられるということです。
つまり、1時間に100回成形した場合1個取りなら100個、2個取りなら200個、4個取りなら400個できることになります。
これによって、製品価格が変わりますので重要な情報になります。

生産数・価格
生産数は1度の発注で何個作るかということです。つまり発注ロットですね。
ロットによって材料の発注量や成形機の占有時間が変わります。またロットが大きいほど生産のコストがは抑えられます。
弊社では移管品においては現行の流通価格が存在するため、その流通価格をもとに適正な発注ロットを逆算しご提案することもしております。

金型移管前にこれらの情報をもとに対応可能かを検討することは可能です。
しかし、シビアにチェックするにはやはり金型現物をチェックする必要があります。
金型移管後に金型を開いてみたら、金型が傷んでおり修理が必要といった場合もあります。
移管が必要な時に限ってすぐに生産して欲しいなんていうことも多々ありますのでそれらのご要望もお聞かせ下さい。

移管と金型改修にかかる費用

正直、金型の改修費用についてはまちまちです。弊社の移管事例では50%程度は改修費用0円で済んでおります。費用が発生した事例の場合、改修時の費用は概ね2万円〜10万円以下いったところです。改修費用のかさむ金型の多くは古い金型であることが多いと言えます。一概に言い切れませんが金型ができてから20年以上経つものは金型の修正費用に少し覚悟が必要かも知れませんね。

金型の寸法、写真、製品現物があれば生産が出来る、出来ないの判断や生産見積りなどさまざまな診断はできると思います。まずはお気軽にお問い合わせください。

金型の移動

金型の移動は金型がどこにあるかによって大きく変わりますが、名古屋近郊であれば弊社の車両にて引取も可能です。

いろいろ移管の方法や情報、コストについて記載しましたがわかりにくい点やご質問もあるかと思います。
まずはTELやお問い合わせフォームよりお声おかけ下さい。