プラスチックの試作品と量産の違い

プラスチックで製品や商品を作る場合、つくる量によって作り方が異なります。
少量の場合、試作品扱いとなり一定量のボリュームの場合、金型による量産成形となります。
試作品と量産品作り方や特徴の違い、どこが試作と量産のボダーラインになるのか?

プラスチックの試作品

試作品は加工方法により長所・短所がある。

少量のプラスチック試作品を作る際には切削加工や貼り合わせ、注型、3Dプリンターなどのいくつかの加工法方があります。
これらの製造方法はそれぞれ長所・短所があり一概にこれがいいと決めることはできません。
たとえば近年、一躍有名になった3Dプリンターは色々な材質で自在な形状を簡単に作ることができますが、外観の綺麗さ、強度や精度の面では切削加工品に劣る点があります。たとえば写真のような2つのパーツを組み立てて使うスタンドの試作品をつくる場合、背板と台座の嵌め合わせのしっくり感を追いかけることは3Dプリンターには苦手なことです。また3Dプリンタ製のスタンドを作った際に重いものを立てかけた際はこわれやすい可能性があります。これは3Dプリンターの製造機能上、仕方のないことなのです。(製造機能上の詳細な説明は長くなりますので割愛します。)
一方で切削加工で作る際は嵌め合わせのしっくり感を調整したり、重いものを立てかけることも可能です。しかし、使える材料がABSやポリカーボネート、アクリルなどいくつかの材料での加工に制約されたり、切削では制作できない形状があったりと短所もあります。
今回例にしたスタンドは3Dプリンタよりも切削加工のほうが向いている用途・形状だったということとなります。
このように用途や形状によって加工方法の選択が重要になります。ですから弊社では作りたいものの用途や形状をヒアリングさせていただき、「これは〇〇で試作品を作るのがベストです。」と提案させていただいております。

プラスチックの量産品(射出成形)

量産は一定量をまとめて生産します。生産する一定量の括り(生産ロット)はメーカーにより大きく異なります。
金型を使い一定量をロット生産することで生産効率が上がることでコストが下がります。また非常に多くのプラスチック材質から材質を選べ、生産の際に同時に着色もできる。
また生産時には大きな圧力をかけた状態で金型に樹脂を打ち込むため完成時に密度の高いものとなり、材質由来の高い強度の製品が生産できる。
一方で金型を作る必要があり初期費用負担ががかかる。

試作品と量産品のボーダーラインをコスト面から検討

試作品のコストは大きさや形状や加工方法、材質などによって大きく変わります。
1個単価で数千円〜数万円となります。みなさまがいちばん気になる点でしょうがオーダーメイド品となるため都度見積もりが必要たとご理解ください。数十個単位で作る際には注型型を作って繰り返し生産できるようにしますが、それでも多く発注してもあまり安くならないというのも試作品の特徴です。1個作る作業を何回繰り返すかということが基本的な考え方とご理解ください。

試作品の100個以上は悩ましい数量?金型を作ることも検討の余地あり!

例えば1個5000円の試作品の場合、
10個で50,000円
100個で500,000円
200個で1,000,000円
となります。

200個で100万円場合、十分に量産金型を作っても採算が合う可能性があります。
ここでは形状などを無視して計算をしてきますが、量産品を仮に以下のように設定したとしましょう。

大きさ…手のひらくらいサイズ
材料…ポリカボネード(PC)
必要数…200個

今までの経験値でいけば上記のざっくり価格帯はこんなところかになるかと思います。
金型…80万〜150万程度(形状により変わります。)
製品単価…100円〜200円程度(重量や仕上げ・梱包仕様などにより変わります)

つまり…
金型:100万
製品代:200個×150円=30万円
総額 130万円
このようになります。
試作品200個で制作したほうがお得です。しかし、この製品200個が半年に1回必要だったらどうでしょう?
そして当面そのサイクルは続く場合とか…。
こうなると、計算するまでありませんよね。金型で量産すれば、2回目からは毎回30万円のみの費用しかかからないのです。実際にこのような相談は頻繁にいただきます。

どうしても、初期費用である金型費の壁が障壁になり量産化できないということは多々ありますが、その製品・商品がその後どれくらい継続して必要かまで検討すると将来的に大きなコストダウンになることも十分考えられます。

心当たりのある製品・商品がありましたら弊社にお問い合わせ頂ければ見積もりをさせていただきますよ。
メール・TELよりお気軽にお声おかけください。