プラスチック代替 『紙』表示ができ可燃ゴミに捨てられる材料成形テスト

マイクロプラスチックと環境配慮型プラスチック材料

最近、よく話題にあがるのがストローやレジ袋をはじめとするプラスチックゴミについて。
とくに飲食店などではプラスチックストローから紙ストローへの代替、レジ袋の有料化案など各所で様々な対策が打ち出されています。
TVなどを観ていると海洋流出したマイクロプラスチックによる海洋汚染、動物や海洋生物に及ぼす影響が今回の引き金になっていますね。ストローなんかは鳥の鼻にストローが刺さった映像がYou tubeから拡散されたことで悪役にされているようですね。プラスチックのプロとしていろいろ思うところ、考えるところはありますが…。
これらの報道を受け、生分解性樹脂など環境に配慮したプラスチックはないかという問い合わせをお客様よりいただき、その解決策のひとつとして、ちょっと珍しい紙を配合したプラスチック材料を試作してみましたのでご紹介します。

“紙”と表記できるプラスチックです。

この見出し意味不明ですね(笑)紙なの?プラスチックなの?
実は今回試した環境配慮型プラスチック材料は紙が51%にPP(ポリプロピレン)が49%という配合にてコンパウンドが開発されているプラスチック材料のため材質表示では『紙』となります。紙ですから捨てる際には燃えるゴミとして捨てられるわけです。これを聞くといろいろ気になる点でてきますよね〜。
僕自信もこれを聞いて、いろいろ疑問点があり試作前に紙プラスチックで作られた成形品サンプルを調達しいろいろ試してみました。
たとえば、紙が51%ということは水に弱いのでは?という疑問。
事前に材料メーカーさんより入手した紙プラスチックで作られた成形品サンプルの破片を1週間水に漬け置きしてみました。結果はまったく変化なし。柔らかくなるわけでも、フニャフニャになるわけでもなく硬質のまま!このテストをしただけでも僕の中ではかなり用途の幅が広がり商品として利用できる実感がわいたので材料メーカーさんに紙プラスチックの材料発注しちゃいました!
他にも材質性能について気になる点はまだまだあるでしょね。そんな方はお気軽のお尋ねください。

紙プラスチック材料が届き、いざ成形TRY!

袋から開封してみたところです。こんな感じのペレットです。
ころころとした真っ白なペレットで大きさには若干ばらつきがあります。

そして成形〜。
あっ、その前に紙プラスチックは予備乾燥が必要ですのご注意を!
通常のPPでしたら不要な乾燥ですが、紙が入っているため吸湿性があるのでしょうね。
無下に加熱筒に長時間置くと面倒くさい事起きそうですねw

 

今回は弊社で成形している日用品的な商品を試作型に選び成形してみました。
非常にしっかりとした硬度で肌触りもよく艶もよく、普通のPPよりも数段上の商品に見える!

結論:メチャクチャ質感いい!僕のイチ押し材料!マジ最高!!

用途により利用できるできないあるかと思いますが、商品によってはプラスチック代替という意図でなく外観的に素敵だからという理由で材料選定できるくらいの価値がある材料だと思います。
成形条件や材料流動性などについてはいろいろ感じ取れるところが多々あり、非常に楽しかったですが、それらは技術的なマニアックな話なのでここでは割愛w

思いつきでドライカラーでの着色をおこない色の発色具合も確認してみました。
成形材としてはとても面白く、商品化する際には環境配慮型・プラ代替の商品コンセプトとしてバランスを整えたブランディングをしていけばかなり訴求力、付加価値のある商品として展開できそうです。ワクワクしちゃいます!
久しぶりにポケットマネーで金型つくってアマゾンで販売しちゃおうかな〜と思案中です。

環境配慮型プラスチック、プラスチック代替品として

話は戻って、環境に対してこの紙プラスチックは役立つか。
プラスチックというのはどうも捨てる際に罪悪感というかモヤッとした感覚に襲われる。不燃ゴミなの可燃なの、資源ごみなの線引が曖昧な点も多いからなのではないでしょうか。
たとえば、コンビニなどのアイスクリームについてくるスプーン。その場で手軽にすぐ食べられてありがたいのですが、食べたあとにゴミにする際にアイスのパッケージは紙製が多くすぐに可燃に捨てられのですが、スプーンについては可燃?不燃?と一瞬、戸惑いませんか?これが紙質であればアイスのパッケージに丸め込んで躊躇なく捨てられることになります。
このように、キッパリ紙と表記してもらえるとプラスチックの廃棄時にするモヤっと感がなく可燃ごみに捨てられるのは非常にありがたいと思う。きちんとゴミとして捨てる。これをすればまず海洋汚染につながるような減るのではないのではないのでしょうか。
使った人が処分しやすい環境づくりも大切ですね。

今回の紙プラスチックは紙ストローのように完全にプラスチックを別の材質に代替え出来るものではありませんが、現状の用途・利便性(強度や寸法精度、衛生面、量産性、コストなど)をある程度保持しつつ環境に配慮した商品としては十分な訴求力を持ち商品や企業のブランディングにも役立つと思います。また現在ある金型をそのまま利用できる可能性も高いため代替導入コストも最低限に抑えられるのも大きなめりとだと思います。

紙プラスチックでの商品開発や生産に興味がある方はお気軽にお問い合わせください。