シリコンとEVA樹脂の違いをわかりやすく解説

やわらか系素材の代表格であるシリコンとEVA樹脂。
シリコンで商品開発してください!EVAで商品を作りたい!というご相談をよくいただきます。
では、なぜシリコンで作りますか?と聞くと「柔らかい素材=シリコン」という固定観念から、やわらか素材はすべてシリコンだと思われている方も多くEVAやTPU、エラストマーなど様々なやわらか系樹脂もあるのですよとご紹介することもしばしばあります。しかしシリコンとEVA樹脂はやわらか素材としては似ていますが性格はかなり違うもの。それぞれに様々なメリットがあるので用途などによってうまく使い分けることがお客さまのメリットにも繋がります。
ということで、今回はやわらか系樹脂の代表であるシリコンとEVA樹脂をいくつかの面からわかりやすく比較・解説しました。

シリコンとEVAは何が違うのか?

1.作り方が違う。

まずはシリコンとEVAの作り方を比べてみたいと思います。
シリコンは熱や硬化剤で液状のベース剤を型に流し込み硬化させてつくる。
EVAは米粒状(ペレット)の材料を熱で溶かして型の中で冷却してつくる。

わかりにくいですよね。もう少し噛み砕いて説明します。
シリコンはシリコンのベース材に熱や薬剤を加えるとそれをきっかけに化学変化起こしシリコンという物質が完成します。
身近になもので例えると、小麦粉を酵母を加え発酵させ熱をかけると固まりパンとなる。これは小麦粉に熱を加えることでカラメル化とメイラード反応という化学変化が起きて異なる物性になるためです。シリコンもパンと同じイメージです。

一方、EVAは米粒サイズの細かなEVAに熱をかけ溶かして、溶けたものを型で固めて成形する加工方法です。材質はそのままで形を変えただけのもとなります。こちらも身近なもので例えると、バレンタインなどでオリジナルのチョコレートを作る際に細かく砕いたチョコレートを湯煎して型に入れて冷やして固めるのと同じで、形は変わったがチョコレートという物性は変わらないというのと同じことです。

2.価格が違う。

作り方が違うことで価格もかなり異なります。
作る際に1個ができるために必要な時間が異なるために価格に違いが出ます。
シリコンは成形時間が長い。
EVAは成形時間が短い。

先ほどの身近なものの例でも、
パンは発酵を待つ時間、オーブンで焼く時間、冷ます時間…
チョコレートは湯煎して溶かす、型に入れて固める。
どちらも手作りで考えると作る時間がかかるように思えますが、パンの方が長く時間がかかるイメージができるのではないでしょうか。

もう少し具体的に…
以前、僕が見積もった実際の日用雑貨品での事例ですが、加工時間が価格に大きく反映された結果となりました。この商品の場合、シリコン製では1個作るためにかかる時間が4分程度に対して、EVA製では40秒程度。シリコンが1個できる間にEVAは4個もできる計算になります。この加工時間は価格に影響するわけです。(これは事例であり加工機の性能や商品形状などによって生産量や単価は変化しますのであしからず。)

重量が15~20g程度の商品をシリコンとEVA樹脂でそれぞれ見積りをしました。
【結果】
シリコン 200円~300円/個
EVA樹脂 50~80円/個
かなり大きな違いが出ました。

※ここではわかりやすくするために加工時間に焦点をあてましたが、実際には原料価格や加工後の処理・仕上げ・検品・包装など様々な要素が絡み合い価格が決定されますので、ご了承ください。

3.耐熱性が違う。

シリコンとEVAの大きく異なる性能は耐熱性です。
同じようなやわらか系樹脂でも全く違う性能ので用途などによっては必ずチェックが必要です。
わかりやすくするためにシリコンとEVAを加熱する比較テストを行ったものを動画にしました。

【シリコンとEVA樹脂の加熱テスト】
半透明の試片がシリコン、ピンクの試片がEVAです。
試片サイズ:シリコン 20mm×5mm×2mm・EVA 20mm×φ3mm
試験方法・目的:屋外にてアルミ板に試片をのせガスバーナーにて加熱、溶け方を見る。
外気温度 12℃ 2018年12月実施

シリコンとEVAの加熱テスト結果
シリコンは常温時にくらべ色がやや白く変化したが、それ以外に形状が変化したり、溶けたりすることはなかった。
EVAは時間経過とともに、熱源に接する部分から溶けはじめ、のちにドロドロになっていった。
(EVAが完全にドロドロになった際のアルミ板の温度は表面温度計で計測して130度~140度)

4.シリコンとEVAは柔らかさに違いはあるのか?

やわらか系樹脂であるそもそもの性能、やわらかさ。
このやわらかさのシリコン・EVAでの違いはあるのでしょうか?硬度計を基準にして高度を測定する硬度の判定なら数値で硬い柔わらかいと判断できますがシリコンやEVAなどの柔らか素材の開発案件では硬度計よりもお客さまの感覚が判断基準になること多いのが実情。その場合、数値化が難しいのはもちろん、開発商品の肉厚やデザイン形状などが硬さを左右する要因になることも多々あります。そんな際は形状と材料の硬度を調整していくことで、シリコン・EVAどちらでも最適な硬度の再現はできるかと思います。

シリコンとEVAの違い比較 まとめ

今回はシリコンとEVAのいくつか代表的な違いを比較してみました。
製造方法が異なる点が起因して価格面が大きく違ってきますので、商品開発の際には用途を考慮して熱特性など物性を確認しシリコンやEVAなどを使い分けることにより、メリットを活かせる場面は多くあるかと思います。ライバル商品がシリコンで作っているものをEVA化するとか!…www

シリコン、EVAどちらも生産のご相談承ります。
またその他の柔らか系樹脂であるTPUやエラストマーなどの成形・商品開発も行っております。
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